チーフ臨床科学担当オフィサー(CCSO)メッセージ

チーフ臨床科学担当オフィサー(CCSO)

 WHO(World Health Organization )憲章では、「健康」を以下のように定義しています。

~病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(http://www.japan-who.or.jp/commodity/kenko.html)~

加えて、健康は静的に固定した状態ではなく動的なものとされています。医療の側面から健康を考える時、心や体の働き(機能)が良好に維持(恒常)されていること、と表現できるかもしれません。近代医学、細胞生物学の進捗によって、この「恒常性」が、いかに動的な分子や細胞間のコミュニケーションの「動的平衡」のもとに成り立っているのかを、生体分子や遺伝子のレベルで理解することが可能となってきています。こういった高解像度での生命現象の理解によって、生体機能を形作るすべてのものが、相互互助・代償機能によって「恒常性」を達成していることが判明してきました。人類はいまだその全貌を解明し得たわけではありませんが、知り得たその姿は芸術的とも表現できるほど緻密精細なものです。その代償機能の不調や破綻が容易には回復されない時、ひとはそれを心身の不調、すなわち「症状」として自覚します。病因によっては、その不調は生体本来の代償機構では整復されません。そういったとき、体が備えるその代償機能をさらに補填することで、整復を実現するのが「医薬」であり、私たちはその創出に向けた創薬研究を行っています。病からの復帰は、病める方とそのご家族の笑顔によって祝福されます。私たちが研究への思いを高め、情熱を維持できる燃源は、患者様やそのご家族の笑顔を見たいという気持ちそのものです。笑顔に包まれた人と人とのコミュニティ、それこそが究極の「健康」。「創薬」を通してこれを実現することが、私たちの目指す社会貢献です。

取締役 チーフ臨床科学担当オフィサー(CCSO)
内科医 医学博士
河野鉄

研究理念